高校野球と人材育成

人材育成

第105回高校野球 夏の甲子園大会での慶應義塾高校の優勝は、
久しぶりに野球、特に高校野球と人材育成を考えるきっかけとなりました。

野球人気の低下

野球人気の低下が言われて久しいですが、データで確認してみましょう
各スポーツの人気度を示すデータは様々なものがありますが、
ここでは笹川スポーツ財団「スポーツライフデータ2022」から、
年1回以上「野球」「サッカー」をする推計人口(20歳以上)から数字を抜粋します。

数字そのものは年によってバラつきがありますが、
2000年では野球597万人に対してサッカーが219万人と
野球が大きくリードしてましたが、2008年ごろには両者拮抗し、
その後はサッカーがリードを保つ展開です。

もう一つ、少年野球や高校野球に関係する10~19歳の年1回以上
「野球」をする推計人口を見ましょう

こちらも低下傾向は明らかで、2001年と2021年の比較では、
282万人から137万人に半減してます。
高校野球の地方予選でも、部員の足りない学校同士が合同チームを
作って出場するのは珍しくありません。
何らかの手立てを打たないと、野球が時代遅れのマイナースポーツ
になってしまします。

高校野球歴代優勝校の系譜

戦前:
大正6年に始まった高校野球(当時は中等学校野球選手権大会)は
旧制京都二中(現:鳥羽高校)の優勝を皮切りに、慶應普通部、愛知一中
(旭丘高校)、神戸一中(神戸高校)、和歌山中(桐蔭高校)など、
現在でも各府県を代表する進学校が多くみられます。

戦後:
学制の変更に伴い高等学校選手権大会となってから、昭和40年代頃まで
は商業高校や工業高校が活躍します。
代表校としては、中京商業、広島商業、松山商業、高松商業などです。

昭和の終わりの頃:
次第に私立のいわゆる野球エリート校が台頭します。
作新学院、PL学園、横浜、東海大相模、大阪桐蔭など、甲子園常連校となり
数々のプロ野球選手を輩出します。

勝利至上主義の弊害

野球エリート校の台頭は、選ばれし選手が恵まれた環境で野球に集中できるため
有力なプロ野球選手の養成には大変効果的なやり方だと言えます。

一方で、野球人気や自らやるスポーツとしての野球の普及といった面では、
負のスパイラルというべき、次のような弊害が生じる可能性をはらんでます。

  • 野球エリート校の全国スカウトによる有力選手集め
  • スカウトの目に留まるように少年野球に勝利至上主義の浸透化(階層化)
  • 試合に勝つために、試合の出場機会が一部の子供に偏る
  • 出場機会に恵まれない子供が野球をあきらめる
  • 野球のすそ野が広がらないことによる野球の人気低下・人口減少の要因となる

慶應義塾高校の優勝がもたらすもの

107年ぶりの慶應高校の優勝は、大応援団や長髪の選手、更に卒業後の
慶應大学への進学予定など、多くのマスコミやSNSを賑わせました。
しかし、慶應の森林監督が「Liga Agresiva」と呼ばれるリーグ戦の普及に
尽力されていることは、あまり報道されていません。

この「Liga Agresiva」とは、ホームページによると、全国30府県で
161校が参加している高校野球の公式戦とは別に
『選手たちの未来にフォーカスした』リーグ戦形式の取組みです。
通常の大会とは異なる以下をコンセプトにしています。

  • 独自のルールや道具の規定
  • スポーツマンシップの学び
  • 指導者の指導力向上

慶應の属するLiga Agresiva 神奈川では、横浜翠嵐、厚木、横須賀など
公立の進学校と呼ばれる学校も参加しています。
まさに、文武両道の社会人としての人材育成を目指そうというわけです。

そしてこれらを実践している慶應が甲子園で優勝したため、高校野球の
あり方が大きく変わるターニングポイントになるかもしれません。

Follow me!

コメント

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました