地方でのライドシェア普及を考えてみた

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ライドシェアサービスは、2023年12月26日の政府の規制改革推進会議 中間答申にて、ようやく導入に向けての具体的に動き出しました。特に地方では、既存の公共交通を補う手段の1つとして、ライドシェアサービスの普及が期待されます。一方で、ライドシェア・サービスそのものにも多くの課題や問題があり、合わせて考えてみましょう。

ライドシェア・サービスのおさらい

まず、ライドシェア・サービスを既存のタクシーとの違いをタクシーのビジネスモデルの進化を踏まえて、簡単におさらいしておきたいと思います。
なお、各ビジネスモデルのレベル1~レベル4は筆者が勝手に付けたもので、公式ではありません。

タクシーのビジネスモデル(レベル1)
運営者:タクシー会社
配車:電話または駅などの公共施設等での待機
決済:車内での現金決済(旧来のタクシー会社の運営)
タクシーのビジネスモデル(レベル2)
運営者:タクシー会社
配車:電話または駅などの公共施設等での待機
決済:車内でクレジットカードなどの利用
★ポイント:運転手の料金徴収業務や売上管理の低減。
利用者の現金持ち合わせの多寡に依存しないタクシー利用が可能。
タクシーのビジネスモデル(レベル3)
運営者:タクシー会社
配車/決済:配車アプリの活用
★ポイント:各タクシー個車と利用者の直接マッチングにより、
配車手配や行き先、決済、料金の見積等のほぼ全ての利用者管理業務
からドライバーを解放。
シェアライド・サービスのビジネスモデル(レベル4)
運営者:ドライバーが個人事業主
(注:現検討案ではタクシー会社が管理等のため介在)
配車・決済:配車アプリの活用
★ポイント:事業収益を最大化できるようにデータを活用して、
利用者の個別ニーズを救い上げ、営業ルートや料金を自由に設定できる。

結局、レベル3のタクシー会社(配車アプリを活用している)とライドシェア・サービスの違いはタクシー会社が事業主かドライバーの個人事業主かとなる。
本来であれば、規制にいわば守られたタクシー会社に対して、個人事業主であるドライバー自身が様々な利用者データを活用しながらニーズを掘り起こして、料金や営業地域、営業時間などを柔軟に対応して収益化を図れることで、新たなビジネスに参入できることです。

地方公共交通の課題

そもそも、公共交通では、都市部と地方を分けて課題を考える必要があります。
まず、地方では、利用者自体の絶対数が少なく、公共交通は押し並べて不採算、行政からの補助金等に支えられたり、もしくは公共交通以外の事業で埋め合わせをしてしたり、全体として漸くカツカツの状態で事業を維持している状況です。

収益を改善しようにも、赤字路線や便数を減らすと、利便性が悪化して更に利用者を減らす悪循環となります。また、地域全体の高齢化や人手不足は事業の継続性に大きな障害となります。

ライドシェア・サービスの課題

これらの地方公共交通の課題は、そのまま地方でのライドシェアサービスの課題となります。
せっかく、個人でライドシェア・サービスを始めても、利用頻度が少なく、十分な収入を得られないかもしれませんし、行き先も一方通行が多く、回送や空車時間が多く発生するため、配車アプリを活用しようにも、とても効率的な運行は期待できません。

整理しますと
(1)ライドシェア・サービスは地方での安価で便利な移動手段を提供できるのか?
現在の政府案では、地方のタクシー会社が地域の自家用車やドライバーを活用して運送サービスを提供することになってます。

移動手段そのものが増えることやマッチングアプリの普及により、現状よりは利便性が高くなることは期待できますが、タクシー会社やアプリ等での支援を表明しているシェアライドの元祖ともいえるUber 社の日本法人であるUber Japanが介在することで、”安価なサービス提供”はかなり難しいことが想定されます。

(2)ドライバーの収益は確保できるのか
ライドシェア・サービスの普及は、ドライバーが個人事業主として収益をあげられることが、大きな役割を果たします。ドライバーは自身の評価を気にして、より丁寧な運転や車の手入れをするでしょうし、マッチング・アプリのデータを活用して、利用者のニーズを捉えることに熱心なためです。

車両の運行効率が低くなる蓋然性がある地方では、この点は厳しいことが予想されます。
実際、ライドシェア・サービスが普及しているアメリカでも、郊外や地方と都市部のドライバーとの収益格差が問題になりつつあります。

(3)既存の公共交通との共存はできるのか
この問題がもっとも難しいです。
地方の構造的な問題が積み重なっているためです。いわゆる「ぽつんと一軒家問題」があります。実際には一軒家は極端としても、10軒や20軒、あるいは100軒であっても、分散した地域ごとの集落をそのままにしては、公共交通に限らず社会基盤となるインフラの維持は、今後一層困難となるでしょう。

そのためにも、ライドシェア・サービスと公共交通の棲み分けを慎重に考えざるを得ません。

ライドシェア・サービス普及のアイディア

ライドシェア・サービス導入に際して、「素人が運転する車に乗って大丈夫か?」という漠然として不安は、地方の場合、それほど心配することは無いように思います。人間関係が濃い状況下で、ドライバー評価で悪い点数を貰うことは致命的なことです。

それよりか、ドライバーの数をどうやって確保するかが重要です。もともと就役人口が少ないことに加えて、ライドシェア・サービスを始めても十分な収益が得られない可能性も高いです。

ここは、全員野球ならぬ、全員ドライバーしかありません。兼業、副業、アルバイト、小遣い稼ぎ、どんな形であれ、ともかくドライバーをやる。これだけです。

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