感覚を言葉で表す試みとは

マーケティンxα(学び、楽しみ)

プロ野球も10月末ともなれば大詰めで、日本シリーズを残すのみとなります。
この頃から、もっぱらメディアを賑わすのはストーブリーグと言われる選手・監督の動向です。今年は日本ハムの新庄監督(ビックボス)に注目が集まってます。
注目されるのは、やはり、一見破天荒ながらも、その考えられた発言です。
そこで、ものごとを的確に言葉で表す重要性を考えてみたいと思います。

言葉で表す難しさ

一般的に感覚とか感性とかが重視される分野は言語化が難しいと思われます。
その代表的なものがスポーツや芸術に関する説明です。
身近なところでは、自転車の乗り方や泳ぎ方を自分の子供に教えるのに苦労した経験をお持ちの方も多いでしょう。体の使い方のコツをうまく言葉で表せずに、身振り手振りで「こうだ!」、「あうだ!」とやっている姿を目にします。そのうちに、親の方が業を煮やし「こういう事は体で覚えるのだ!」と開き直る。

武道や伝統工芸の様な世界でも、師匠から技は教わるものでなく、盗むものだと言われて修行を積むことになる。そのうえで「型を倣って、型を破る」と先人の工夫を会得した上で自分なりの工夫を加えることが重視されてきました。

カンフー映画「燃えよドラゴン」で一躍スターになったブルース・リーの有名なセリフがあります。弟子の少年に空手の技を教えている時、「Don’t think. FEEL!」つまり、「考えるな 感じよ!」これが空手の奥義を取得するプロセスというわけです。

言葉で伝える意味合いが変わってきた!

現代において、例え同じ意味の言葉であっても、その伝わり方がまるで変わってきてます。
もちろん、インターネットの出現によるものです。
剣術の奥義は言うに及ばず、従来の書物などの情報が伝わる範囲と量は限定的なものであり、だからこそ、特定の有意義な情報に接することができる人は特権的な地位を獲得できた。

現代のインターネットの時代は違います。誰もが世の中、大半の情報を容易に手に入れられる。「正しいフォームでクロールの泳ぎ方」でも「ゴルフのドライバーの打ち方」など、文書でも写真でも動画でもいくらでも知識としては得られます。しかし、動画を見るだけで、ゴルフが上手くなったり、優れたデザインができれば苦労はありません。

そこで求められるのは「コーチング力」です。
「足りないものは何か」「矯正するところはどこか」「強化する順番は」など、個人のクセなどの固有の問題に配慮した上で現在の状況を素早く判断し、有りとあらゆる情報の中から取捨選択した「アドバイス」を適切な言葉で伝える。

もう1つ重要なことは、言葉の触発に対応できることだと思います。
急速なネットワーク化により、言葉は特定の人への限られた範囲の人へ伝えるものではありません。分野や背景の異なる人とのやり取りが発生する可能性があります。
その時に不用意な言葉を使ったり、必要な情報のエッセンスを捉えられないと致命的なダメージを受けかねません。

参考にしたい例

ものごとを言葉で表す、言語化についてお勧めしたい本があります。
水野 学 著「センスは知識からはじまる」です。
水野氏はデザインや企画を手がける会社の代表であり、慶應大学で教鞭と取りながら、
「センス」と言うこれまた説明が難しいものの言語化に正面から取り組んでます。

著書の中で、「〜っぽい分類」と言うものを提案してます。
例えば、キャラクターの「くまモン」は「和っぽいクマ」だそうです。
人は初めての見たものや経験のないものに対して、評価することは難しく、判断の基点が必要となるため、先ずはカテゴリーを限定して「センス」を考えようと言うわけです。

すなわち、知識や経験で得られた「普通のセンス」というものに対して、どの位飛躍しているかが、「センスの良さ」と考えている。これをわたしの理解で図に表すと以下の様になります。

水野氏はデザイナーは自分のデザインがどのように優れたセンス(普通からどのように飛躍したものか)なのかを説明する義務があるとまで述べています。

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