モビリティー社会とは

新事業・新技術・新商品

規制緩和の検討により話題の(電動)キックボードを題材に、人々が望むシームレスなMobility社会とは何か、その条件や方向性を考えてみます。

キックボード

私自身がシームレスなMobilityに関心を持つキッカケになった出来事があります。
東京の青山近辺から渋谷駅へ徒歩で向かう時、多くの人が商業施設の渋谷ヒカリエを通り抜けます。
私が通りかかったのは午後7時過ぎの時間帯であったため、多くの会社員や学生が渋谷駅に向かって歩いていました。ちょうど渋谷ヒカリエの入口に差し掛かった頃、背後で「ザッ」という大きな音がして振り返ると、学生風の若い女性が乗ってきたキックボードから降りるところでした。

渋谷駅はいわば谷底のような立地にあり、青山から渋谷駅へはゆるい下り坂です。
先ほどの女性はキックボードで颯爽と青山からの下り坂を滑ってきたという訳でしょう。
問題はその後です。
その女性はキックボードを降りるやいなや、ハンドルなどを折りたたみ、肩に担いで歩いて雑踏に消えてゆきました。その間、ほとんど歩みを止めずにノンストップで一連の動作をしているため、
キックボードで滑ってきて、そのまま歩いて行くような印象を受けました。
文字通りシームレス(継ぎ目のない)Mobilityを実感しました。

シームレスなMobility社会とは?

モビリティー(Mobility)とは”移動手段”とか”移動のしやすさ”などの意味です。
人の行動の基本中の基本は歩行です。
良いMobilityとは、どのようなものでしょうか? またその良し悪し基準はどこにあるのでしょうか?
例えば、ショッピングが好きな人も多いと思いますが、ショッピングモールやアウトレットでの
ショッピングは人の動きだけに着目すれば歩くことと同義に近いものがあります。
同様にテーマパークでも身体的には散歩にあまり変わりません。このように多くの行動は歩行の延長線上にあると言っても過言でありません。

アウトレットやテーマパークではお身体が不自由な方やご高齢の方などを除いて、電動カートの様な移動手段を常に利用したいと思う方はあまり多くないと思います。
しかし、歩くことの意味が例えばショッピングから移動に変わリ、ある境界点を超えた瞬間から他のMobilityへのニーズが急速に高くなります。まさにこのポイントで確実に何か乗り物に乗せてもらうことができれば、シームレスなMobility社会ということになるでしょう。

自分の歩く力を伸ばすものもシームレスなMobilityとして重要な要素となります。
自分の興味ある所は自分の足で気ままに歩くが、関心がない所ではスピードを上げて短縮したい、または、身体的に疲れてきたら補助してほしい。
この様に歩行と他の移動手段がスムーズに切り替えられることが実現できれば、シームレスなMobility社会が実現できたと言えるでしょう。

Mobilityに向かって動き出した

移動手段の代表的なものとして自動車が挙げられ、新型車や新しい技術、将来のコンセプトを各自動車メーカーから発表される場として、モーターショーが各地であります。
しかし、近年、世界のモーターショーは中国以外では往時の盛り上がりはなく、規模や開催場所も縮小傾向です。更にバーチャルやオンラインでの社会的な実施要請により、展示会そのものが中止に追い込まれているケースも多数発生してます。

2021東京モーターショーもそのように中止になったモーターショーの1つです。
日本自動車工業会の豊田会長(トヨタ自動車社長)は6月に開催中止を発表した席上で
「次回は東京モビリティショーとしてリアルでやりたい。」と発言しています。
また、9月にドイツで開催されたものは、従来は通称「フランクフルト・モーターショー」と呼ばれていましたが「ミュンヘン・モビリティショー」として、開催場所とタイトルを変更してます。

空飛ぶ自動車(有人ドローン)や電動キックボードなど従来の自動車の枠に収まらないMobilityの波が来ているということでしょうか

将来的に期待されるMobility像

(1)電動キックボード
現在、政府により公道を走れる条件の緩和が検討されているが、電動アシスト自転車や電動バイクと同じ位置付けの利用のやり方(観光地やビジネス街で貸し出し・返却用のステーションを設置等)では、
シームレスなMobilityとはなり得ない。
現行モデルで公道使用可能なものは20kg前後の重量であり、携行して使用できるためには、よりコンパクトな外観と軽量化が必須となる。

(2)自動運転タクシー
タクシーに乗るために駅で並んだり、タクシーを予約してその到着を待つ様では、ドライバーがいない無人の自動運転タクシーが実現しても余り嬉しくない。
人々が望むのはお抱え運転手付きの車の様に、必要とするときにタイムリーに乗り、歩きたい時にどこでも降ろしてもらえるワガママである。

(3)空飛ぶ自動車(有人ドローン)
これが実現しても、ドローンの性能の問題に関わらず、自家用ジェット機の様に東京から北海道や沖縄に自由に行きたいと思う人は少数派と考えます。(身動きが取れない狭い空間に長時間耐えられる人は少ないはず)
やはり、用途として一般的なのが自宅から満員電車に乗らずに通勤したり、都心のオフィスから空港まで直行したり、週末には近郊の温泉や別荘へ一っ飛びして日常を忘れてリラックスしたい。
そのためには、自動運転タクシーと同様なワガママのし易さが鍵になります。

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